領 域03
バイオ技術領域
世界最先端のバイオエコノミー社会を目指して
「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現」するため、2019年にバイオ戦略が作られ、目指すべき4つの社会像、および9つのターゲット市場領域が設定された。バイオ技術領域では、各省からの提案をバイオ戦略に基づき審査、採択、実施し、実現に向け加速化を図っている。
LEADER
バイオ技術領域統括
小林 憲明
一般社団法人
バイオインダストリー協会 参与
バイオ戦略有識者会議 構成員
- PROFILE
- 1983年三重大学工学部卒業。同年キリンビール(株)入社、1998年国際ビール事業部(中国・東南アジア担当)、2004年経営企画部部長代理、2010年キリンビバレッジ(株)ロジスティクス本部生産部長、2014年キリン(株)執行役員R&D本部技術統括部長、2017年キリン(株)取締役常務執行役員兼キリンホールディングス(株)常務執行役員。2018年SIPスマートバイオ産業・農業基盤技術プログラムディレクター就任、2019年キリンホールディングス(株)取締役常務執行役員、バイオ戦略有識者会議構成員、2022年キリンホールディングス(株)退任。
領域概要
生物は、進化の過程で様々な機能を獲得しており、その多くを人間が有効利用してきた。
バイオ技術領域は、そのような多様な生物機能を活用し、社会課題の解決と持続的な成長につなげるための研究開発を支援するものである。
本パンフレットでは、PRISMバイオの4年間で取り組まれてきたのべ21の研究開発のうち、以下の3つを取り上げる。
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地球環境負荷低減のための有用微生物スクリーニングプラットフォームの構築
有用微生物を大規模かつ効率的に探索するための技術を構築する。この技術を用い、植物病原菌を抑える拮抗微生物を探索し、そのような微生物を用いた、化学農薬に頼らない病原菌防除で、環境にやさしい農業を目指す。
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木材需要拡大に資する大型建築物普及のための技術開発
多様な木質構造による一般性・汎用性のある設計例等を作成し、告示等を定めるための技術根拠資料を整備することで、木材活用大型建築物の普及を加速する。
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動物用医薬品をターゲットとしたバイオ製剤供給技術の開発
カイコ由来タンパク質を用いた新しい経口ドラッグデリバリ法を開発し、家畜で効果を実証する。
図1
PRISMにおけるバイオ技術領域の特徴
生物は進化の過程で様々な機能を獲得しており、その多くを人間が有効利用してきたが、まだまだ未知の有用機能もあるはずで、いわば、多様な生物界は宝の山と見なすこともできる。この宝の山を応用分野で考えた場合、3つカテゴリーに整理することができる(図)。 1つ目は、プラスチックや燃料などの化学工業製品をバイオの力で生産する分野で、ホワイト・バイオと呼ばれている。2つ目、食材を生産する農業や、木材を生産する林業が含まれるカテゴリーは、グリーン・バイオである。3つ目のレッド・バイオは、健康・医療に関するカテゴリーとなる。植物由来燃料など、図1に示したのはほんの一例で、ほかにも、発酵食品や化学薬品、繊維、遺伝子検査など、実際には数えきれないほどのものづくりやサービスにバイオ技術が活用されている。
領域の取り組みにおける活動
- 1地球環境負荷低減のための有用微生物スクリーニングプラットフォームの構築
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この研究では、例えば、できるだけ化学肥料や農薬に頼らず持続的な農業に転換してゆくことを可能にするような微生物など、有用な微 生物を効率よく探すための基盤となる技術の開発を目的としている。地球上には多くの有用微生物がいる。ただし、微生物は一つかみの土に10~100億個含まれているといわれるように膨大な数があり、そのほとんどが難培養のため、従来の方法では、有用な微生物を引き当てるまでに、気の遠くなるような作業量が必要だった。 今回開発した技術では、オイルの中に非常に小さなしずくを作り、そこに微生物を封じ込めて増殖させる。この作業を、専用の装置を使ってシステマティックに行うことで、1時間で100万もの液滴を処理することが可能となった。そこで、この技術を、植物病原菌を抑える拮抗微生物の探索に活用し、実際に拮抗微生物の候補を得ることができた。このように、処理数の飛躍的な増加により、今まで探索しきれていなかった膨大な微生物集団を探索の対象にすることができ、液滴に入れる養分や目的微生物の検出法のバリエーションを増やすことにより、様々な有用な微生物が探索できるようになる。
図2
- 2木材需要拡大に資する大型建築物普及のための技術開発
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高層木造建築物の設計をしやすくするための技術開発、木材と鉄筋コ ンクリートや鉄骨を組み合わせた木質混構造建築物の安全性確保のための技術開発、および木造建築物の音環境から見た居住性(床衝撃 音遮断性能)の向上のための技術開発を行ってきた。 その結果、木造大型建築に適した木材の使用を前提に、精密な構造計 算などを行い、10階建て木造建築の設計例を示すことができた。 また、壁や天井材などの構造物を表面に見せる「あらわし」とする場合に求められる、地震や火災への安全性を確保するための技術も整備した。これらの知見を活用し、木造の中層復興住宅を設計する際の指針も作成した。さらに、木材を用いた床の仕様と防音性の関係について試験を重ね、基準作成のための情報を蓄積した。
図3
- 3動物用医薬品をターゲットとしたバイオ製剤供給技術の開発
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畜産においても、感染症を防ぐためには徹底的に予防接種することが有効。そこでシルクを活用した経口ワクチンを開発した。シルクはカイコガの幼虫がつくるタンパク質でできている。これを保護材のように利用してワクチンを守り、腸管まで無事に届けようというものである。 実験ではサルモネラ菌の表面にあるタンパク質を、シルクタンパク質に組み込んだ形でカイコに生産させ、これをパウダー状にし、餌に混ぜてマウスに与えたところ、サルモネラタンパク質に対する抗体がマウスで産生されていることが分かった。今後は家畜で効果を実証し、製品化を目指す。
図4
バイオ技術領域
成果報告動画
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2023.03.17(金) 13:00
〜オンライン開催
7回目の開催となる
今年度のシンポジウムでは、
SIP第2期5年間の研究成果を
報告いたします。
また、令和5年度から開始する
SIP第3期と、
PRISMの後継プログラム
BRIDGEについても
最新情報を発表いたします。