領 域04
量子技術領域
量子技術による産業・社会イノベーションの実現に向けて
量子技術は、将来の経済・社会に変革をもたらすばかりではなく、経済安全保障の観点からも重要な基盤技術である。我が国の「量子技術イノベーション戦略」「量子未来社会ビジョン」を推進するため、日本の強みを生かし、重点的な研究開発や産業化・事業化をPRISM 量子技術領域の施策によって促進し、量子コンピュータ、量子生命分野における量子計測・センシングなどで世界トップを目指す。
LEADER
量子技術領域統括
荒川 泰彦
東京大学 ナノ量子情報
エレクトロニクス研究機構
特任教授
- PROFILE
- 1975年東京大学工学部電子工学科卒業、1980年東京大学大学院工学研究科博士課程電気工学専攻修了(工学博士)、1980年東京大学生産技術研究所講師、1981年東京大学生産技術研究所助教授、1993年東京大学生産技術研究所教授、1999年東京大学先端科学技術研究センター教授兼任、2006年東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構長、2018年現職、東京大学名誉教授。2009年紫綬褒章、2011年ウェルカー賞、2017年日本学士院賞などを受賞。
領域概要
コンピューティング、センシング、通信性能等の飛躍的な向上により、イノベーションを起こす
量子技術は、「二重性」「重ね合わせ」「量子もつれ」といった量子の性質を積極的に操作・制御、利活用する技術。
大きく次の4つの分野が考えられている。
・量子に情報を乗せて計算に使う「量子コンピューティング」での超高速計算。
・量子に情報を乗せて遠くへ運ぶ「量子通信」での完全に秘匿可能な通信。
・外部環境の変化を捉える「量子計測・センシング」での超高感度な計測。
・量子の性質を発現させる「量子マテリアル」での新奇な現象の利活用。
量子技術は、我々の社会経済を支える基盤技術であるコンピューティング、センシング、通信性能等の飛躍的向上をもたらす可能性を秘めている。
この状況の中、2022年に「量子未来社会ビジョン」を策定。2030年に目指すべき状況として、「量子技術の利用者を1,000万人に」「量子技術による生産額を50兆円規模に」「量子ユニコーンベンチャー企業を創出」という3つの目標を掲げている。
PRISMにおける量子技術領域の特徴
今量子技術は我々の社会経済を支える基盤技術であるコンピューティング、センシング、通信性能等の飛躍的向上をもたらす可能性を秘めている。
この技術を活用することで社会経済の幅広い分野において、経済成長、社会課題解決に貢献することが期待されている。量子技術はアカデミアなどにおける基礎研究の成果が産業化・事業化に直結する分野である。このため我が国では、技術戦略である量子技術イノベーション戦略、出口戦略である量子未来社会ビジョンの両輪で、産学官による緊密な連携の下、あるべき未来社会の実現に向けて取組を推進している。
具体的には2030年に目指すべき状況として、「量子技術の利用者を1,000万人に」「量子技術による生産額を50兆円規模に」「量子ユニコーンベンチャー企業を創出」という3つの目標を掲げている。
PRISMの事業趣旨は「各省が取り組む施策において、民間からの投資誘発効果を高めて研究開発を加速し、早期の社会実装を目指す」とされている。
私たちは各省が取り組む最先端研究と、その成果の早期実用化に向けた技術開発を一体的に推進する。まさに、技術戦略と出口戦略の両輪で取り組むという国家戦略を具体化する施策としての機能を担っているのである。
領域の取り組みにおける活動
- 1量子技術領域における具体的取組み
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1つ目は、分子科学研究所が取り組んでいる冷却原子型量子コンピュータの開発である。量子コンピュータは超伝導、イオンなど様々な量子系の方式が提案されている。中でも、冷却原子を用いた方式は、ノイズの少なさや拡張性に優れ、近年注目が高まっている方式である。分子科学研究所は、原子を格子上に配列し、高精度かつ高速に制御するレーザー技術に強みを持っています。この技術を生かし、400原子という世界最大レベルの配列を実現し、多数量子ビットの可能性を切り拓いた。
PRISMにおいては、この技術を早期に社会実装につなげるため、レーザー技術などの光学機器メーカーと連携し、装置の小型化、安定化、リモート・クラウド化など、エンジニアリング技術の開発を加速するための追加投資を実施した。
その成果として、2022年8月に量子計算のための基幹技術である2量子ビットゲートで世界最速を達成。これは、Google 社が2020年に達成した世界記録を更新する革新的な成果である。2022年8月には本課題を推進する大森教授が内閣府「ムーンショット型研究開発制度」の追加プロジェクトマネージャーに指名された。これにより、実用化に向けてさらに取組みを強化・加速していくこととなる。
今後、日本発の冷却原子型量子コンピュータの社会実装がなされ、社会課題解決などに貢献することが期待されている。
- 2ナノサイズ量子センサによる生体機能計測
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2つ目は、ナノサイズ量子センサによる生体機能計測である。
これは量子科学技術研究開発機構(QST)が取り組んでいる。生体機能計測の応用例としては、老化やがん化のメカニズム解明、認知症の治療法開発への貢献が期待されている。
PRISMにおいては、このQSTのコア技術を創薬・医療分野の多くのユーザの利用いただくため、計測の効率化に向けて、顕微鏡メーカーと連携し、数万細胞のデータを全自動で計測・処理するハイスループットな計測システムの開発を加速するための追加投資を行った。
成果として 、AIによる細胞の自動検出・解析を実装し、数万細胞に及ぶ計測データの自動処理に成功。AIを用いることで、量子センサを取り込んだ細胞の蛍光像から、解析したい細胞の領域を自動でピックすることが可能になり、計測データの解析効率が大幅に改善。 このソフトウェアの解析技術とハードウェアの試作機を合わせて、数万細胞に及ぶ大量の細胞をターゲットとした量子センシングと高速なデータ解析を可能とする計測システムを実現することができた。
今後も、引き続き産業界と連携し生体機能計測の実用化を加速していく予定である。
量子技術領域
成果報告動画
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2023.03.17(金) 13:00
〜オンライン開催
7回目の開催となる
今年度のシンポジウムでは、
SIP第2期5年間の研究成果を
報告いたします。
また、令和5年度から開始する
SIP第3期と、
PRISMの後継プログラム
BRIDGEについても
最新情報を発表いたします。