施策テーマ 医療デジタルツインの発展に資するデジタル医療データバンク構想

プログラムマネージャー

プロフィール写真:浜本 隆二

浜本 隆二

国立研究開発法人国立がん研究センター研究所 医療AI研究開発分野・分野長

経歴

東京大学(医科学研究所)、ケンブリッジ大学(腫瘍学部)を経て2012年よりシカゴ大学(医学部)に准教授として奉職。2016年から国立がん研究センター研究所分野長に就任し(現職)、東京医科歯科大学連携教授(現職)及び理化学研究所革新知能統合研究センターチームリーダーを併任(現職)。2018年より日本メディカルAI学会代表理事を務める(現職)。現在PM(研究総括)として内閣府BRIDGE施策を推進。

経歴

東京大学(医科学研究所)、ケンブリッジ大学(腫瘍学部)を経て2012年よりシカゴ大学(医学部)に准教授として奉職。2016年から国立がん研究センター研究所分野長に就任し(現職)、東京医科歯科大学連携教授(現職)及び理化学研究所革新知能統合研究センターチームリーダーを併任(現職)。2018年より日本メディカルAI学会代表理事を務める(現職)。現在PM(研究総括)として内閣府BRIDGE施策を推進。

施策について

医療データバンクとAIの活用により、誰でも・どこでも、安全で高品質な医療サービスを受けられる社会

日本の医療は世界トップレベルであることは間違いないですが、診断の精度という観点では、例えば医師の違いによる技術格差や、地域格差等の問題は存在しています。私たちは現在、医療データやAIの利活用により、実際に熟練の専門医レベルの診断ができるAIの開発を進めています。このようなAIを用いれば、これまで医師によっては見逃してしまっていた病変の発見や、精度の高い診断が、誰でも・どこでも受けられるようになります。
また、医療現場の逼迫は依然として重要な課題です。このような課題に対し、ルーティーンとなっているようなタスクをAIで一部肩代わりし、現場の先生方にはより患者さんと向き合う時間にあててもらうような、一種の働き方改革も実現していきたいと考えています。

施策テーマ「医療デジタルツインの発展に資するデジタル医療データバンク構想」について語る浜本 隆二さん

私たちのミッション

日本にある質の高い大量の医療データを統合データベースとしてまとめ、それらを二次利用してAIを活用した医療機器の開発や、創薬などに発展させることが私たちのミッションです。

医療データバンク

日本には、質の高い医療データが大量に蓄積されていますが、多くの医療データは構造化されておらず、また、病院内の各診断科に分散されて保存されているため、統合的な解析が難しいことが課題となっております。
また現在世界的に、AIを活用したプログラム医療機器の開発が積極的に行われており、医用画像解析がその中核となっていますが、我が国においては、精緻な診療データに紐づいた医療画像を利活用する基盤が十分整備されていない、ということが喫緊の課題となっています。

そこで本BRIDGE施策においては、同一患者の診療情報ゲノム情報、医用画像情報、薬剤情報などが一気通貫で紐づいた、デジタル化・構造化された「医療データバンク」を構築します。従来日本でもバイオバンクは複数創設されてきましたが、それは血清、手術検体などの生物学的材料が中心でした。私たちが取り組むのは本邦初の公的なデジタル医療データバンクということになります。またその蓄積されたデータを二次利用して、AIを活用したプログラム医療機器開発などを行うプラットフォームを構築していきます。

実証中/実証予定のユースケース

本施策の実施主体である国立がん研究センターは、肺がんに関して米国のTCGAの症例数を超える世界最大規模のデータを有しており、がんに関する様々なデジタル医療データを本施策でも蓄積しています。特に希少がんのようにもともと症例数が少なく、病院や施設を超えた連携が求められる領域に関して、様々な関係者の方にご協力を頂きながら、多様なデータを蓄積し、診断の精度向上、新しい治療方法の確立に繋げていきたいと考えています。
また日本はもともと内視鏡分野が医学・ベンダー双方に強みがありますので、内視鏡診断支援AIの開発は本施策でも重点領域に設定しています。このAIでは、単なる異常検知を超えた、質的診断や転移の予測、またほかの医療データと連携させた高度な医療システムとして国民の皆様に提供したいと考えています。

協働したいステークホルダー

本BRIDGE施策では、単に研究のための研究ではなく、社会実装、国民の皆様に我々の研究成果を還元していくということを重要視しております。医療機器メーカーの方たちや、製薬会社の皆様との連携は必須になると考えています。我々のこの施策の意義というものをご理解いただき、ご賛同いただく方達がおられましたらぜひご一緒させていただき、一つでも多くの成果を、国民の皆様に提供していきたいと思います。

記事作成時期2024年1月31日
(記事の内容は作成時時点のものです)

内閣府の
科学技術・イノベーション
に関する取り組み

科学技術イノベーションこそが経済再生と持続的成長の原動力です。科学技術イノベーション政策を強力に推進し、日本を「世界で最もイノベーションに適した国」としていくことが、今、必要とされています。激動する世界情勢や環境変化のなか、グローバル課題への貢献と国内の構造改⾰という両軸を、どのような政策で調和させることができるのか。日本が目指すより良い未来社会「Society 5.0」の実現に向けた新たなイノベーションへの発展に取り組んでいます。