施策テーマ AIによる最適な医療機器選択で実現する次世代スマート物流プラットフォームの社会実装

プログラム推進者

プロフィール写真:竹下 康平

竹下 康平

東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究部 講師

経歴

2010年にPMDA入社し医療機器の承認審査業務を経験。2014年に厚生労働省へ出向し医療機器の保険償還価格決定事務に従事。その後、民間企業にてIT開発や製品開発戦略策定を担当。2017年からは現職の東京慈恵会医科大学にて医療機器や医療情報に関する研究開発やベンチャー育成に携わる。

経歴

2010年にPMDA入社し医療機器の承認審査業務を経験。2014年に厚生労働省へ出向し医療機器の保険償還価格決定事務に従事。その後、民間企業にてIT開発や製品開発戦略策定を担当。2017年からは現職の東京慈恵会医科大学にて医療機器や医療情報に関する研究開発やベンチャー育成に携わる。

施策について

AIを活用することで、必要な医療機器が無駄なく・最適な形で届けられる社会

現在、手術を行う際には、必要となりそうな医療機器について沢山のサイズ・型のものを病院に届けてもらい、手術が開始してからどのサイズの機器を使うかを医師が見極め、使わなかった機器は再度業者が持ち帰るというプロセスをとっています。患者さんの病変や身体的特徴は様々に異なるため、手術前に正確な機器を選択することは非常に難しいとされ、物流の不経済の一因となっています。また、新型コロナウイルス流行中には人工呼吸器の不足がニュースでも取り上げられました。しかし事後的な調査では実は数量としては不足しておらず、地域内で過不足が発生しており、適切な場所に届かなかったという物流の面での課題があったことが分かりました。本事業ではAIの活用により、必要な医療機器が無駄なく届けられる、医療物流の最適化を目指していきます。

施策テーマ「AIによる最適な医療機器選択で実現する次世代スマート物流プラットフォームの社会実装」について語る竹下 康平さん

私たちのミッション

どの場所でどんなニーズがあるのかを客観的な情報をもとに判断し、医療物流を改善していくことが私たちのミッションです。本事業では物流の中でも医療機器の発注部分と、機器を購入した後の稼働部分で、大きく2つのプロジェクトが進んでいます。発注部分でのソリューションとなるのは医療版ECサイトです。

医療版ECサイト

これまで電話で行われてきた発注プロセスを、医療版ECサイトでオンライン化していきます。このECサイトでは具体的な症例情報や医用画像データを入力すると、AIが医療機器の適切なサイズを提案する支援機能を開発しています。この機能を使えば経験の少ない若手医師でも手術前に適切な機器選択ができ、また実際に発注されるのは提案されたサイズ・型に少し幅を持たせた機器のみとなるので、物流コストの大幅な削減につながります。実際に使われるサイズの機器を中心とした物流へと変化をしていけば、医療機器メーカーも、使用されることの少ないサイズ・型のデータを把握できますので、メーカー側の生産量の最適化にもつながっていきます。

実証中/実証予定のユースケース

医療版ECサイトでは、画像等の客観情報をもとに、使用する機器サイズを提案できるような製品から始めていく予定で、現在データを大量に蓄積できている脳血管の分野で実証を進めています。例えば脳動脈瘤治療のケースでは、患者さんごとに瘤のできる場所や大きさや形は全く異なります。これに対し画像データを基にして、使う機器の種類やサイズ・型の予測を行っています。その他にもカテーテル等の埋め込み式機器の分野については、同じような仕組みで進められる可能性があります。埋め込み式機器は国内で100億円を超える市場規模を持っていますので、非常にインパクトの大きい取組であると言えます。

協働したいステークホルダー

物流の2024年問題は医療においても重要な課題となっています。運送業者、医療機器メーカー、卸業者、医療従事者、そしてもちろん患者さんにとってのメリットを考え取組を進めていきます。特に病院側が本事業で開発される医療版ECサイトを使うインセンティブが生まれるよう、医師に対する手術後業務の支援機能等、今後さらにステークホルダーを細分化して検討を進めていきます。

記事作成時期2024年2月9日
(記事の内容は作成時時点のものです)

内閣府の
科学技術・イノベーション
に関する取り組み

科学技術イノベーションこそが経済再生と持続的成長の原動力です。科学技術イノベーション政策を強力に推進し、日本を「世界で最もイノベーションに適した国」としていくことが、今、必要とされています。激動する世界情勢や環境変化のなか、グローバル課題への貢献と国内の構造改⾰という両軸を、どのような政策で調和させることができるのか。日本が目指すより良い未来社会「Society 5.0」の実現に向けた新たなイノベーションへの発展に取り組んでいます。