施策テーマ 公共エリア向けダイナミックマップの開発

プログラムディレクター

プロフィール写真:伊藤 建

伊藤 建

経済産業省製造産業局 自動車課モビリティDX室 室長

経歴

2005年経済産業省入省。これまで、質の高いインフラ輸出戦略の推進、世界貿易機関(WTO)ルール交渉、カーボンニュートラルに向けた環境エネルギー政策、医療DXの推進等を担当。

経歴

2005年経済産業省入省。これまで、質の高いインフラ輸出戦略の推進、世界貿易機関(WTO)ルール交渉、カーボンニュートラルに向けた環境エネルギー政策、医療DXの推進等を担当。

施策について

どんな気象条件や道路でも、誰もが安全かつ円滑に移動できる社会

超高齢社会や地域の過疎化、ドライバー不足など、様々な交通問題が生じており、交通弱者の方を救うためにも、自動運転の社会実装が求められています。高速道路や幹線道路を中心に、自動運転の導入が進みつつありますが、豪雨、豪雪のような気象条件下や狭い道での自動運転には、いまだ技術的な制約が存在します。

私たちは、正確な自動運転技術を確立することで、どんな気象条件や道路でも、誰もが安全かつ円滑に移動できる社会の構築を目指しています。

施策テーマ「公共エリア向けダイナミックマップの開発」について語る伊藤 建さん

私たちのミッション

自動運転には、車両技術だけでなく、自動運転のベースとなる高精度な地図情報、つまりダイナミックマップの開発も重要です。マップの対象地域を広げること、情報のリアルタイム性を向上させることが私たちのミッションです。

ダイナミックマップ

ダイナミックマップは、高精度な3次元地図(静的情報)の上に、落下物や交通規制、歩行者、信号機、気象状況などのリアルタイムデータ(準静的情報、準動的情報、動的情報)が積み重なって構成されるマップです。

まずは、基礎となる高精度3次元地図を、全国的に拡大していくことが求められています。SIP第1期では、高精度3次元地図のデータ収集のため、日系企業からの出資を募ったダイナミックマッププラットフォーム株式会社が立ち上がりました。

今回のBRIDGEでは、高精度3次元地図の上に積み重なる情報の階層を上げることに取り組んでいます。地図情報はリアルタイムで更新される状況が理想的です。そのためには、車両から取得されるデータと、道路インフラに設置されたセンサーによるデータを連携させる、インフラ協調に取り組みたいと考えています。インフラ協調が実現すると、例えば、車載センサーでは直接検知できない死角から近づいてくるトラックにも気付けるようになります。

実証中/実証予定のユースケース

地域限定型の無人自動運転移動サービスについて、2025年度を目途に50か所程度、2027年度までに100か所以上の実現を政府の目標としています。BRIDGEでは、羽田空港と秋田港で高精度3次元地図を作成し、空港内のリムジンバスや、港湾に出入りするトラックを自動運転する実証実験を予定しています。まずは静的情報の収集に取り組むことになりますが、リアルタイム情報の階層を上げることにも取り組んでいきたいです。また、100か所にとどまらず、全国的にレベル4自動運転を拡大していきたいと考えています。

協働したいステークホルダー

まずは、自動車OEMや自動運転技術のスタートアップといった車両メーカーに、ダイナミックマップを活用していただきたいです。自動車産業は日本のリーディング産業である一方、自動運転技術では米中が先行しています。日本の自動車産業の競争力を維持するためにも、事業性を確保しながら、自動運転に意欲的な事業者を支援していきたいと考えています。

また、落下物や歩行者といった情報のリアルタイム性を向上させるために、カメラやセンサー等の事業者とも連携し、インフラ協調に取り組んでいきたいです。高精度かつリアルタイムな情報を積み重ねることで、自動運転の早期社会実装を実現したいと考えています。

記事作成時期2024年2月5日
(記事の内容は作成時時点のものです)

内閣府の
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科学技術イノベーションこそが経済再生と持続的成長の原動力です。科学技術イノベーション政策を強力に推進し、日本を「世界で最もイノベーションに適した国」としていくことが、今、必要とされています。激動する世界情勢や環境変化のなか、グローバル課題への貢献と国内の構造改⾰という両軸を、どのような政策で調和させることができるのか。日本が目指すより良い未来社会「Society 5.0」の実現に向けた新たなイノベーションへの発展に取り組んでいます。