課題テーマ スマートエネルギーマネジメントシステムの構築

プログラムディレクター

プロフィール写真:浅野 浩志

浅野 浩志

岐阜大学高等研究院 特任教授/(一財)電力中央研究所 研究アドバイザー/東京工業大学 科学技術創成研究院 特任教授

経歴

1984年東京大学大学院修了。博士(工学)。エネルギーシステムの分析と評価に関する研究に従事。1993年東京大学工学部助教授,2005年同大学院教授、2010年電力中央研究所社会経済研究所所長を経て,現在,東海国立大学機構岐阜大学高等研究院特任教授,(一財)電力中央研究所研究アドバイザー,東京工業大学ゼロカーボンエネルギー研究所特任教授、SIP第3期「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」プログラムディレクター。

経歴

1984年東京大学大学院修了。博士(工学)。エネルギーシステムの分析と評価に関する研究に従事。1993年東京大学工学部助教授,2005年同大学院教授、2010年電力中央研究所社会経済研究所所長を経て,現在,東海国立大学機構岐阜大学高等研究院特任教授,(一財)電力中央研究所研究アドバイザー,東京工業大学ゼロカーボンエネルギー研究所特任教授、SIP第3期「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」プログラムディレクター。

課題について

誰もが安心・安全・便利に再生可能エネルギーを利用できる社会

GX・カーボンニュートラルの達成は急務です。
しかし、地政学リスクや化石燃料の価格変動などにより、エネルギーの安定供給には、いまだ課題が存在します。
また、電力は生産と消費の同時同量が原則であり、大量かつ安価に貯蔵することが困難なため、再生可能エネルギー発電のある時間帯に消費することが望ましいです。エネルギーマネジメントシステムが確立されていないことで、再生可能エネルギーの利用が制限されている状況と言えるでしょう。
私たちは、マネジメントシステムの確立により、誰もが安心・安全・便利に再生可能エネルギーを利用できる社会を目指しています。同時に、システムの標準化を図り、より広域で再生可能エネルギー中心の社会を築こうと取り組んでいます。

課題テーマ「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」について語る浅野 浩志さん

私たちのミッション

誰もが安心・安全・便利に再生可能エネルギーを使いこなせる社会を構築し、カーボンニュートラルを達成することが私たちのミッションです。

セクターカップリング

セクターカップリングとは、生産・変換・利用セクターのエネルギーを相互に変換、統合し、効率的に利用する試みです。例えば、交通部門と電力部門を統合すると、広域停電が発生した際に、EVに貯蔵された電力を一般家庭の電力として用いるビークル to ホーム(V2H)が挙げられます。

近年、日本の一般家庭では、電力消費を計測するスマートメーターが普及しました。地域全体のロードカーブ(電力負荷曲線)を把握し、太陽光発電の余剰分を地域内で活用する実証も検討されています。地域全体のセクターカップリングが実現すれば、太陽光発電が過剰発電されても、需給バランスを維持する出力制御が不要になり、電力システム内のみならず、交通や熱利用にも再生可能エネルギーを利用できるようになるでしょう。

産業分野では、再生可能エネルギーの発電量と、地域内の工場のエネルギー消費量を、IoTプラットフォーム内で連携し、地域全体で再生可能エネルギーの利用を最適化する試みがあります。しかし、秘密保持の観点から、企業間の壁を越えてエネルギー消費量を共有することは困難です。私たちは、セキュアな通信システムを国際標準化することで、各社の情報を安全に連携できる仕組みづくりに取り組んでいます。

実証中/実証予定のユースケース

セクターカップリングの実証例として、宇都宮市での公共交通への太陽光発電活用が挙げられます。宇都宮市では、既にLRT(次世代型路面電車システム)をゴミ発電や太陽光発電により走行させるゼロカーボントランスポートを実現し、また、150台以上の路線バスのEV化を進めるなど、公共交通の脱炭素化に向けた先進的な取り組みが進んでいます。

SIPではこうした事業者と連携し、スマートメーターによる消費電力データや太陽光発電データを地域全域で分析することで、いつどこで電動バスの充電を行うべきかを提案し、効率的に再生可能エネルギーを活用し地域の脱炭素化を無理なく進めることに貢献していきます。

協働したいステークホルダー

再生可能エネルギーは、発電設備が工場や一般家庭などに分散しています。そのため、カーボンニュートラルの実現には、自治体やエネルギー関連の事業者、交通・物流インフラの事業者、データ連携を行うITベンダー等が、うまく連携する必要があります。協業時は、単一の企業が主導するのではなく、ステークホルダーが各自のノウハウを持ち寄る、コンソーシアムのような形を想定しています。今までエネルギー市場に関わってこなかったプレイヤーによる参入も期待しております。

記事作成時期2024年1月31日
(記事の内容は作成時時点のものです)

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