課題テーマ 包摂的コミュニティプラットフォームの構築

プログラムディレクター

プロフィール写真:久野 譜也

久野 譜也

国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学学術院 教授
国立大学法人筑波大学 スマートウエルネスシティ政策開発研究センター センター長

経歴

1992年筑波大学大学院博士課程医学研究科終了。博士(医学)。ペンシルバニア大学医学部客員研究員(文部省在外研究員)、カリフォルニア大学デービス校医学部客員研究員(文部省創造開発研究在外研究員)、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授を経て、2002年より株式会社つくばウエルネスリサーチ代表取締役社長、2011年より筑波大学体育系 教授、2020 年より国立大学法人筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センター センター長へ就任。

経歴

1992年筑波大学大学院博士課程医学研究科終了。博士(医学)。ペンシルバニア大学医学部客員研究員(文部省在外研究員)、カリフォルニア大学デービス校医学部客員研究員(文部省創造開発研究在外研究員)、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授を経て、2002年より株式会社つくばウエルネスリサーチ代表取締役社長、2011年より筑波大学体育系 教授、2020 年より国立大学法人筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センター センター長へ就任。

課題について

多様な個人を受容する「寛容性」と一人一人が主体的に行動する「自律性」を備えた社会

包摂的コミュニティとは、「寛容性」と「自律性」を備えたコミュニティのことです。
本コミュニティの形成には、すでに心身に高いリスクを抱えている人々へのアプローチだけではなく、その状態に至る前段階の人々を早期に発見し、守る仕組みとしてのポピュレーション・アプローチが重要です。
健康無関心層が健康行動に向かうことや、住民のまちづくりや互助への参画など、人々の価値観や行動を変える「社会技術」の開発を行い、多様な個人を受容する「寛容性」と一人一人が主体的に行動する「自律性」を備えた社会の構築を目指しています。

課題テーマ「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」について語る久野 譜也さん

私たちのミッション

コミュニティや個人の寛容性・自律性を高める社会技術を開発・実装し、一人ひとりの多様な幸せ(well-being)の最大化を実現することが、私たちのミッションです。

社会技術

社会の包摂性を高めるには、マイノリティに関する情報をただ発信するのではなく、実際に人々の行動を変えていく必要があります。人々の価値観変容や行動変容を促進する技術を「社会技術」と呼びます。
私たちは、人々にどうアプローチすれば行動が変わるのかを考えながら、自治体での実証実験を行っています。様々な自治体で得た成果を、社会技術として他の自治体や企業に展開し、各取り組みの再現性を高めることが目標です。

特に、広報技術の社会技術化が重要だと考えています。マイノリティの問題に無関心な人の特徴として、そもそも情報を得ようとしないことが挙げられます。情報を入手して、自分の中で納得感を得てから、ようやく行動変容に繋がります。無関心な人ほど、排他的な態度を取りやすい傾向にあるため、まずはどう情報を届けるかが課題となっています。

実証中/実証予定のユースケース

千葉県の柏の葉をモデル地域として、情報を発信するイベントを開催し、地域の人々の認知度やリテラシーがどの程度変わるのかを調査しています。柏の葉でも複数回の開催が予定されているほか、今後もモデル地域が増えていく予定です。
また、無関心な人に情報を届けるために、インフルエンサーを活用した情報発信も行っています。ロバート秋山氏を登用した、子育てへの理解を促すYouTube動画は、多くの方々に再生されました。広報技術として、エンタメ要素を入れることで、人々の興味を引き、最終的に行動変容にまで繋げることを想定しています。
(ママもまんなか!スマイル健幸カフェ:https://www.youtube.com/@mpupjp

自治体や企業が自ら包摂性の向上に取り組めるように、これらのユースケースをもとに、コミュニティの包摂性を評価する指標づくりにも取り組んでいます。

協働したいステークホルダー

世界的にも、包摂性が求められる時代になっています。今年度は、人口1万人未満の自治体から都市部まで、多様な自治体をモデル地域として実証を行う予定です。今後も、モデル地域となる自治体を増やし、包摂的コミュニティを更に広げていきたいです。また、民間企業からお声掛けいただくことも増えており、官民両面での取り組みが始まっています。
人々の価値観や行動を変えるのは困難ですが、困難だからこそやりがいがあります。包摂的コミュニティプラットフォームの構築に向けて、志のある自治体・企業の参加をお待ちしています。

記事作成時期2024年1月31日
(記事の内容は作成時時点のものです)

内閣府の
科学技術・イノベーション
に関する取り組み

科学技術イノベーションこそが経済再生と持続的成長の原動力です。科学技術イノベーション政策を強力に推進し、日本を「世界で最もイノベーションに適した国」としていくことが、今、必要とされています。激動する世界情勢や環境変化のなか、グローバル課題への貢献と国内の構造改⾰という両軸を、どのような政策で調和させることができるのか。日本が目指すより良い未来社会「Society 5.0」の実現に向けた新たなイノベーションへの発展に取り組んでいます。