課題テーマ 人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの
整備

プログラムディレクター

プロフィール写真:山海 嘉之

山海 嘉之

筑波大学 システム情報系 教授、サイバニクス研究センター 研究統括、未来社会工学開発研究センター センター長/CYBERDYNE株式会社 代表取締役社長・CEO

経歴

1987年筑波大学大学院修了。工学博士。筑波大学機能工学系講師、助教授、米国Baylor医科大学客員教授を経て、筑波大学システム情報系教授、サイバニクス研究センター研究統括、未来社会工学開発研究センター/F-MIRAIセンター長、CYBERDYNE代表取締役社長・CEO、内閣府SIP「人協調ロボティクス」PD。新領域【サイバニクス:人・AIロボット・情報系の融合複合】を創成し、世界初の装着型サイボーグ「HAL」を研究開発した功績で知られる。

経歴

1987年筑波大学大学院修了。工学博士。筑波大学機能工学系講師、助教授、米国Baylor医科大学客員教授を経て、筑波大学システム情報系教授、サイバニクス研究センター研究統括、未来社会工学開発研究センター/F-MIRAIセンター長、CYBERDYNE代表取締役社長・CEO、内閣府SIP「人協調ロボティクス」PD。新領域【サイバニクス:人・AIロボット・情報系の融合複合】を創成し、世界初の装着型サイボーグ「HAL」を研究開発した功績で知られる。

課題について

世代を超えた人々の自立度と自由度を高め、生活・心身等の諸問題を解決できる安心安全な社会

少子高齢化による生産年齢人口の減少や介護や子育ての担い手不足は、社会問題になっています。
本課題のHCPS融合人協調ロボティクス(「人」+「サイバー・フィジカル空間」融合人協調ロボティクス,HCPS: Human-Cyber-Physical Space)の技術開発・社会実装は、人とテクノロジーが共生・協調して相互に支え合うテクノピアサポート社会をもたらす新領域の取り組みです。例えば、人協調のハンド・アームを搭載したロボットが寝たきりとなった障がい者や高齢者の意思に従って物を運んだり、身につけた小型のバイタルセンサーを通じて遠隔地にいる家族や医療従事者、介護者が体調を確認し、必要に応じて適切なケアを提供したりといったことが可能になります。要介護者の自立度を高めることによって、家族や介護者が常に現場で見守る必要がなくなり、生活の自由度も向上します。

人協調ロボティクスの社会実装によって、世代を超えた人々の自立度と自由度を高め、生活・心身等の諸問題を解決できる社会の実現を目指しています。

課題テーマ「人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」について語る山海 嘉之さん

私たちのミッション

人協調ロボティクスを社会実装することで、人や社会の様々な課題を解決し、人々がより健康に生きていける社会をもたらすことが私たちのミッションです。HCPS融合人協調ロボティクスのコアとなるのは、人・AIロボット・情報系の融合技術であり、世界トップの状況にあります。

HCPS融合(「人」+「サイバー・フィジカル空間」融合)

HCPS融合とは、➀人の生理・身体・行動認知・心理等の情報、②AIロボットが機能する物理空間(フィジカル空間)、③人の情報とAI/遠隔ロボット技術を連動させる情報空間(サイバー空間)の3つを融合・一体化させることを意味します。

HCPS融合により、人々は物理空間だけでなく、HCPS融合で構築された空間(サイバニクス空間)において、日常生活を送れるようになります。

例えば、ロボットを介して、視聴覚情報だけでなく触覚情報を送受信することで、遠く離れた人と触れた感覚を共有し、触れ合いを遠隔で実現することができます。HMD(ヘッドギア)をつければ、物理空間上のロボットの姿が遮断され、仮想空間上でアバターとなった人間、例えば家族の様子を見ながら安心で楽しい生活の場の拡張を実現することもできます。

社会課題解決に向けたユースケースの例

人協調ロボティクスでは、自立支援・健康管理支援・コミュニケーション支援・遠隔作業支援・見守り支援など、いくつかのユースケースが想定されています。

例えば、脳神経系由来の人の意思情報とAI技術等が融合され、自分の身体の一部のように機能する人協調ロボット技術による自立支援が挙げられます。片腕の不自由な方が、プリンを食べようとすると、持ち運び可能なロボットのハンド・アームがその方の意思に従い、さーっと手を差し伸べて、プリンのカップを支えます。その方は動く方の手でフィルムをはがすといった生活上の細やかな動作を他者の手を借りずに実現できるのです。このようにして自立度が高まることで、従来はできなかった作業が一人でもできるようになり、多様な人々の社会参画を促すことに繋がるのです。

協業したいステークホルダー

ユースケースで挙げた技術には、脳神経系等の微弱な信号を読み取るセンシング技術や小型化技術や省電力化技術などが求められるため、半導体を設計できる事業者とも協業したいと考えています。また、このような新領域の人協調ロボティクスの事業化・社会実装・拡大には、科学技術だけでなく、社会的・経済的なアプローチも求められています。複合的なチームで、技術的・社会的・経済的取り組みを同時に展開することで、社会問題の解決を目指していきます。

記事作成時期2024年1月31日
(記事の内容は作成時時点のものです)

内閣府の
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