課題テーマ マテリアル事業化イノベーション・育成エコシステムの構築
プログラムディレクター

木場 祥介
ユニバーサルマテリアルズインキュベーター株式会社代表取締役パートナー
経歴
豊田通商株式会社に入社後、トヨタ自動車株式会社出向を経て、機能性材料分野における新規事業の立ち上げと、素材系ベンチャー企業への投資、グローバル展開支援に従事。
2012年に株式会社産業革新機構(現・株式会社INCJ)に入社後、素材・化学チームを立ち上げ、UMIを企画の後、2016年4月よりUMIに正式参画。
早稲田大学大学院理工学研究科、東京農工大学大学院生物システム応用科学府修了。博士(工学)。2023年よりSIP第3期プログラムディレクター。
経歴
豊田通商株式会社に入社後、トヨタ自動車株式会社出向を経て、機能性材料分野における新規事業の立ち上げと、素材系ベンチャー企業への投資、グローバル展開支援に従事。
2012年に株式会社産業革新機構(現・株式会社INCJ)に入社後、素材・化学チームを立ち上げ、UMIを企画の後、2016年4月よりUMIに正式参画。
早稲田大学大学院理工学研究科、東京農工大学大学院生物システム応用科学府修了。博士(工学)。2023年よりSIP第3期プログラムディレクター。
課題について
目指す社会の姿:マテリアル産業×スタートアップで日本の産業競争力がさらに強化された社会
日本の製造業はGDPの2~3割を占め、その中でも素材や化学といったマテリアル産業は約3分の1を担う重要な分野です。今まで日本の素材・化学の分野は大企業が主導してきましたが、データを利用することにより素早く、柔軟性の高い開発が実現すれば、この分野こそスタートアップが大きく成長できる領域だと我々は考えています。
サイバー空間とフィジカル空間を融合したデータ駆動型の開発基盤から生まれたスタートアップがユニコーン・デカコーンとなり、日本のGDPを牽引する。本SIP課題ではそのような社会の実現を目指しています。

私たちのミッション
世の中の様々な社会課題に対してマテリアル産業が可能なことを追求し、スタートアップ×素材・化学産業という切り口で、社会課題を解決するユニコーンやデカコーン企業を生み出すエコシステムを構築することが、私たちのミッションです。


キーワード:マテリアルユニコーン育成プラットフォーム
「マテリアルユニコーン育成プラットフォーム」は、マテリアルスタートアップの成長を支援するための2つの中核基盤を備えた仕組みです。
1つ目の「データ中核基盤」では集積されたデータを利用して開発のスピードアップをサポートします。これまでのデータ駆動との違いは、「用途特化型アプリ」という概念を導入したことです。これは、取り組みたい社会課題やビジネスモデルから、競争力の源泉となるデータ基盤を定義するという考え方です。この用途特化型アプリと世の中にある様々なデータベースが繋がることで、データ駆動開発をより早く進めていくことができます。
2つ目は「事業化支援基盤」で、スタートアップの立ち上げから成長までの多岐にわたる課題をサポートします。経営や事業推進、人材採用、パートナーシップ構築などの多くのタスクに対応し、ユニコーン企業への成長を後押しすることが目的です。
データ基盤と事業化支援の両輪でスタートアップを支えることによって、人間の手だけでは難しいスピード感でビジネスモデルや事業プロセスを定義し、次世代のユニコーン企業を生み出します。

直近の成果・ユースケース
2023年に採択された2件のスタートアップについてご紹介します。
1つ目の大熊ダイヤモンドデバイスは、ダイヤモンド半導体を一貫して製造する技術を持つ世界初のスタートアップです。福島の原発廃炉作業で使用する耐放射線性能の高いデバイス開発をきっかけに設立されました。ダイヤモンドは半導体としても優れた特性を持ち、宇宙、防衛、通信など幅広い用途での活用が期待されています。
2つ目は信州大学発のスタートアップで、ヴェルヌクリスタルという無機材料の結晶を用いて水中の有害物質を効率的に除去する技術を開発しました。この技術は従来のろ過技術に比べ、安価かつ効率良く有害物質を除去できる点が画期的です。現在、タンザニアでフッ化物を除去する実証実験が進行中で、ASEAN諸国の水インフラ整備や工業地帯での活用も期待されています。
読者へのメッセージ
アメリカや中国と比べると、日本はユニコーンやデカコーン企業の数が圧倒的に少ないのが現状です。しかし、これまで多くの革新的な発明を行ってきた日本の素材・化学産業には、これらを生み出す大きな可能性が秘められています。マテリアル分野での挑戦は時間や資金が必要で簡単ではありませんが、やれば必ず実現できると信じています。共にユニコーンを生み出し、世界を変えていきましょう。
記事作成時期2025年3月3日
(記事の内容は作成時時点のものです)
第3期の課題一覧














内閣府の
科学技術・イノベーション
に関する取り組み
科学技術イノベーションこそが経済再生と持続的成長の原動力です。科学技術イノベーション政策を強力に推進し、日本を「世界で最もイノベーションに適した国」としていくことが、今、必要とされています。激動する世界情勢や環境変化のなか、グローバル課題への貢献と国内の構造改⾰という両軸を、どのような政策で調和させることができるのか。日本が目指すより良い未来社会「Society 5.0」の実現に向けた新たなイノベーションへの発展に取り組んでいます。